アジャイル開発とは?ウォーターフォールとの違いも解説

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2022年05月12日

従来のシステム開発では、「ウォーターフォール開発」で行うことが一般的でしたが、近年は「アジャイル開発」が選ばれることも多くなってきました。

この記事では、アジャイル開発の意味や、ウォーターフォール開発との違い、なぜ近年注目されているかを解説していきます。

アジャイル開発とは何か

アジャイル(Agile)を日本語に直訳すると「素早い」「機敏な」という意味になります。

その名の通りアジャイル開発は、開発期間が短縮され、仕様・要件の変更に強いことが特徴になっています。

アジャイル開発にはさまざまな流派があり、決まった開発工程があるわけではありません。

ですが、多くの流派で共通する典型的な開発工程が存在するのでご紹介します。

アジャイル開発の典型的な開発工程

「期間を短く区切って小さく作ること」「反復して作ること」は多くのアジャイル開発の流派に共通する特徴です。

開発期間を短く区切りこの区切りごとに設計・開発・テスト・リリースを行うパターンがよくみられます。

アジャイル開発の工程

この1サイクルのことをイテレーションまたは、スプリントと呼びます。

イテレーションを導入する目的は、迅速にシステムをリリースし適応・改善するサイクルが着実に回るように動機付けることにあります。

ウォーターフォール開発とは何か

ウォーターフォール開発は、要件定義、設計、開発、テスト、リリース、運用までの各工程を段階的に完了させていく開発手法です。

ウォーターフォール開発の工程

ウォーターフォール開発は、スケジュールを管理しやすく、人員計画を立てやすい特徴があります。

しかし、要件定義やシステム設計をしっかりと固めてから開発に着手するため、リリースまでの時間が長くなってしまい、仕様変更に弱い傾向もあります。

日本のソフトウェア開発では最もポピュラーな開発モデルです。

これまでウォーターフォール開発が選ばれてきた理由

近年アジャイル開発が選ばれるようになってきた理由を理解するためには、なぜ今まではウォーターフォール開発が選ばれてきたかを理解する必要があります。

ウォーターフォール開発が選ばれてきた主な理由を紹介します。

日本のシステム開発の構造と合致していた

日本企業の多くは自社にIT人材を抱えていないので、システム開発をITベンダーに外注することになります。

IPAの調査結果を見ても、日本のIT人材が極端にITベンダーに偏っていることがわかります。

デジタル人材の偏り
出典:IT人材白書 2017

多くの会社は自社にIT人材を抱えていないためITベンダーの良し悪しを見極めることが難しく、安心感から大手のITベンダーが外注先に選ばれることが多い傾向にあります。

そのため、日本のシステム開発はSIer大手が案件を受注して上流工程を担当して、下流工程を下請けに流していく「多重請負構造」になることが多くなります。

多重請負構造
システム開発の多重請負構造

ウォーターフォール開発は工程ごとに責任範囲が決まっており、各会社ごとの責任範囲を明確にできるため多重請負と非常に相性が良いです。

多重請負構造とウォーターフォールとの相性
多重請負とウォーターフォールの相性

こうした構造上の理由でウォーターフォール開発が長らく支持されてきました。

責任の所在が明確になる

ウォーターフォール型の開発は前工程で決めたことが完全であることを前提に次の工程を進めるので、要求が明確である場合には契約内容と責任範囲が明確になるメリットがあります。

何か問題が起きた時にITベンダー側の責任を追求できるので、ユーザー企業側で抱えるリスクを抑えることができます。

こうした責任の所在が明確になって抱えるリスクが少なくなるという安心感からもウォーターフォール開発が選ばれてきました。

要求の変化スピードが今ほど早くなかった

ウォーターフォール開発は要求仕様が変化しないことを前提とした開発手法です。

以前はシステム開発と言えば、既存ビジネスの維持・運用といった補助的な役割がほとんどでした。

既存ビジネスの補助的な役割としてデジタル技術を活用する場合は、既存ビジネスを分析して必要に応じてシステム化すればいいので、開発している途中で要求仕様が変化することがそれほどありませんでした。

そのため、各工程を段階的にしっかりと固めるウォーターフォール開発が好まれてきました。

アジャイル開発が選ばれるようになってきた理由

前述した理由から、日本ではウォーターフォール開発が長らく主流になっていました。

しかし、IT技術の役割の変化から、ウォーターフォール開発では上手く行かないケースが増えてきています。

時価総額のトップ企業やユニコーン企業を見ても、デジタル技術が補助的な役割ではなく、ビジネスの根幹に組み込まれている企業が目立ちます。

2018年の上場企業時価総額ランキング
出典:新たなイノベーションエコシステムの
構築に向けて(経済産業省 産業技術環境局)
世界のユニコーン企業
The Complete List Of Unicorn Companiesのデータ(2022年3月11日時点)を基に作成

つまり、IT技術の役割が「現行ビジネスの補助」から「ビジネスの価値創出」へと徐々にシフトしていることになります。

現在、多くの企業が「ビジネスの価値創出」に繋げるために、DXに取り組んでいます。

→DXとは?詳しくわかりやすく解説します

DXを成功に導くには、「役割を明確に決めること」「責任の所在を明確すること」「最初に要求を決めること」よりも「新しい価値を生み出すこと」が重要になってきます。

新しい価値を生み出すためには、まだ答えが見つかっていないところに仮の答え(=仮説)をおいて検証をスピーディーに繰り返すことが重要になります。

アジャイル開発には開発期間が短縮され、仕様・要件の変更に対応できるというメリットがあります。

このような特徴から、アジャイル開発はDXに最適な開発手法として近年注目を集めています。

しかし、アジャイル開発も良いことばかりではありません。

工程をしっかりと管理するウォーターフォール開発とは違い、スケジュールや人員のコントロールが難しいというデメリットもあります。

それぞれの特徴を踏まえた上で、最適な開発方法を選択していくことが大切になります。

おわりに

アジャイル開発とは?について解説してきましたが、いかがでしたか?

JCS DX推進グループでは、アジャイル開発を通してDX推進をサポートする「レンタル内製チーム」というサービスを展開しています。

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