MVP(実用最小限の製品)とは?
MVPとはMinimum Viable Productの略で、日本語では「実用最小限の製品」と訳されます。
最初から完璧を目指すのではなく、まずは顧客の抱える課題を解決するための最小限の製品を作るという考え方です。
MVPを用いることで、仮説に基づいたコアとなる最小限の機能を低コスト・短期間で実装でき、有効なフィードバックを得ることによって低リスクで早い段階での検証が可能になります。
元々はリーンスタートアップから生まれた考え方で、新規事業の立ち上げ時に用いられることが多いですが、業務システムの構築においても考え方を応用することができます。
従来の開発との違い
MVP最大の目的は、検証サイクルを回すことです。
「完璧な製品ができた!」と思っても実際に使われるまでは、顧客にとって本当に価値があるかはわかりません。
そこで、MVPを用いて開発します。
顧客から「移動手段が欲しい」という要望があった場合を例に、従来の開発方法との違いを図で示します。
従来の開発方法では、一度のサイクルで製造を行います。
一見するとシンプルで無駄がないように思いますが、最後まで顧客が手にとって確かめることができません。
MVP開発では、細かい単位で実用可能な製品を作っていきます。
そうすることで、顧客が手にとって確かめられて、検証のサイクルを回していくことができます。
MVP開発のメリット
本当に価値のあるものを作る
MVPを用いた開発では、顧客が満たしたい根本的なニーズに焦点を当てます。
自動車はその解決策の1つにしか過ぎません。まずは、チームとして考えれる最低限の製品を提供することを目指します。
この段階では顧客が満足いくものでは無いかもしれませんが、この時点で重要なことはフィードバックを得て学ぶことです。
移動手段としてのスケートボードは多くの面で自動車より劣っているかも知れません。
ですが、触ってみて初めてわかることもたくさんあります。
最初は「移動手段が欲しい」と思っていたけど、本当は「クールに移動できる手段が欲しかった」と気づけるかも知れません。
もしそうであれば、クールさを維持したままより良い形に製品を成長させていくことができます。
「楽に曲がりたい」という要望が出たらハンドルをつけてキックボードにして、「もっと効率よく移動したい」という要望がでたらペダルをつけて自転車にして、「もっと楽をしたい」という要望が出たらエンジンをつけてバイクにします。
要望を満たす形で成長させていくと、最終的にはクールなスポーツカーになるかも知れません。
このように、検証サイクルを回してフィードバックを得ることで、顧客が欲しかった本当に価値のあるものを作ることができます。
リスクの軽減
また、検証サイクルを回すことでリスク軽減にも寄与します。
従来の開発手法では、「想定していたのと違う」と気づいてからやり直そうと思っても予算やスケジュールの都合がつかない場合があります。
高い開発費用を支払ったのに、手元にはタイヤしか残らないということが発生するリスクがあります。
ですが、MVPを用いた開発では、予算やスケジュールの都合で開発が打ち切りになっても必ず実用可能なものが手元に残ります。
MVPを用いて開発することで、本当に価値のあるものを作ることができて、リスクを最小に抑えることができるのです。
MVP活用の事例
Airbnb
Airbnbの創業者たちは、アパートの家賃を払う余裕もありませんでした。
そこで、自宅のロフトを安い宿泊施設として解放することにしました。彼らはアパートの写真をとり、簡単に作成したウェブサイトにアップロードしました。
するとすぐに宿泊の申し込みがきました。
そして、今や世界中の人が使用するサービスに成長しています。
Dropbox
オンラインストレージサービスであるDropboxの創業者たちは、システムを構築するよりもっと簡単なことを思いつきました。
彼らは3分間のビデオを作成して公開することで、ユーザーの反応を確認したのです。
実際の製品を作ることなく、サービスの見込み客がどれだけいるかを検証することに成功しました。
実際に、この動画をきっかけに事前登録ユーザーが5,000人から75,000人に大幅に増加したようです。
私たちのMVP活用方法
私たちは、従来のように要件定義・詳細設計・製造・テストといった一度のサイクルでの計画作りは極力行いません。
一度のサイクルで計画を作るということは、お客様に完璧な要望を出してもらうことを強いることになるからです。
どれだけ大きなプロジェクトであっても最初にMVPを決めて、できるだけ短い期間で確実に到達できるゴールを設定します。
弊社は、MVPを活用してお客様に寄り添って開発を進めるレンタル内製チームというサービスを提供しております。
ご相談は無料で承りますので、お気軽にご連絡ください。